健康情報
50代からのトレーニングは人と比べない|同じメニューで同じ結果にならない理由
- 公開日:
- 2026-06-30
「トレーニングの情報が多すぎて、何を選べばよいか分からない」
「重量を上げ続ければ、身体は順調に強くなるのだろうか」
「動画で見た強い人と同じメニューを行えば、自分も同じようになれるのだろうか」
50代以降に身体づくりへ取り組む方ほど、このような疑問を持ちやすいのではないでしょうか。
世の中には、優れたトレーニング理論や分かりやすい動画が数多くあります。しかし、その内容が正しいことと、今の自分にそのまま適していることは同じではありません。
人にはそれぞれ、長年積み重ねてきた動作のクセ、得意な力の出し方、関節の動き、回復力、身体の構造があります。
そのため、同じメニューを行っても、同じ結果になるとは限りません。
なぜ、見た目以上に強い人がいるのか
今回参考にした海外動画では、元プロクライマーのマグヌス・ミトボが、体格から想像する以上の力を発揮する理由を、運動科学の視点から解説しています。
動画で挙げられていた中心的な要素は、長年のクライミングによって特定の引く動作へ適応した神経系、筋腱の付着位置などの解剖学的な個人差、血流を含む生理学的な特徴です。
ここで大切なのは、特別な人物の身体を分析して終わることではありません。
同じ体重、同じ筋肉量、同じトレーニング経験に見えても、力の出方は一人ひとり異なるということです。

長年の動作は、神経系の使い方を変える
筋力は、筋肉の大きさだけで決まるものではありません。
必要な筋肉を適切な順番で使うこと、関節を安定させること、力を出す方向をそろえること、動作のタイミングを合わせることも、実際の力発揮に関係します。
同じ動作を長く繰り返してきた人は、その動作に必要な身体の使い方が洗練されていきます。これが、動画内で説明されていた「神経系の最適化」という考え方です。
例えば、長年クライミングを続けてきた人は、引く動作や握る動作において、筋肉を効率よく動員する技術を蓄積しています。
一方で、同じ人が初めて行う別の種目では、必ずしも同じ能力を発揮できるとは限りません。筋力には、動作や状況に特化した側面があるからです。
身体の構造にも個人差がある
筋肉や腱が骨へ付着する位置、骨格の形、腕や脚の長さ、関節が動きやすい方向などは、全員同じではありません。
こうした差は、関節に対して力を伝える条件に影響します。
同じ種目でも、ある人には扱いやすく、別の人には負担が大きいことがあります。スクワットの深さ、ベンチプレスの軌道、懸垂の得意不得意などに違いが出るのも不思議ではありません。
参考動画では、筋腱の付着位置が力学的な優位性につながる可能性も、一つの仮説として語られていました。ただし、動画を見ただけで個人の身体構造を判断することはできません。
重要なのは、他人の身体的な条件をそのまま自分へ当てはめないことです。

重量を上げることは大切だが、それだけでは足りない
トレーニングでは、少しずつ負荷を高める考え方が重要です。
ただし、重量だけを進歩の基準にすると、動作の崩れ、可動範囲の縮小、反動の増加、回復の遅れを見落とすことがあります。
50代以降では、次のような変化もあわせて確認する必要があります。
- 同じ重量を、より安定した姿勢で扱えるようになったか
- 以前より広い範囲を、無理なく動かせるか
- 翌日に強い疲労や違和感を残していないか
- 日常生活や趣味の動作が行いやすくなったか
- 自分で負荷を調整できるようになったか
重量が増えることは一つの成果です。しかし、身体をコントロールできる範囲を失ってまで増やす必要はありません。
優れたコンテンツは「ゴールの絵」である
インターネット上のトレーニング動画は、正しく活用すれば非常に役立ちます。
一方で、画面に映っているのは、その人が長年積み重ねた結果であることが少なくありません。
高重量のトレーニング、難しい自重運動、深い可動域、美しいフォームは、いきなり真似するための開始地点ではなく、目指す方向を示す「ゴールの絵」と考えた方が安全です。
同じ種目を選ぶ場合でも、今の自分に合わせて、可動範囲、負荷、支持、テンポ、回数を調整する必要があります。

自分に合うメニューを決めるために確認したいこと
誰のメニューを真似するかを決める前に、まず現在の身体を知る必要があります。
- どの動作が安定してできるか
- どの関節が動きにくいか
- どこで別の部位による代償が起きるか
- どの負荷からフォームが崩れるか
- 運動後と翌日にどのような反応が出るか
- トレーニングによって何をできるようになりたいか
同じスクワットでも、目的が脚の筋力向上なのか、ゴルフを長く続けるためなのか、旅行で歩き続けるためなのかで、優先する内容は変わります。
種目を先に決めるのではなく、目標と現在地を確認してから、必要な運動を選ぶことが大切です。
MYSELFが考える、50代以降の進め方
MYSELFでは、理想的なフォームを一方的に当てはめるのではなく、今の身体がどの条件なら安全に動けるかを確認します。
できない動作があった場合も、すぐに「筋力不足」と決めつけません。
可動範囲、負荷、支持、開始姿勢、テンポなどを一つずつ変え、どの条件なら自分でコントロールできるかを確認します。
その開始地点から、次の順番で段階的に進めます。
- 現在の動作と身体機能を確認する
- 安全に再現できる条件を決める
- 必要な動きを練習する
- 負荷や可動範囲を少しずつ広げる
- 日常生活や趣味での変化を再確認する
比べる対象は、動画の中の強い人ではありません。
昨日までの自分と比べて、できることが少しずつ増えているか。
この視点を持つことが、長く続けられる身体づくりにつながります。
痛みや急な変化がある場合は、重量を追わない
運動中に痛み、しびれ、急激な筋力低下、通常とは異なる息苦しさや胸部症状などがある場合は、他人のメニューを参考にしてそのまま運動を続けるべきではありません。
状態によっては、運動よりも医療機関への相談や確認を優先する必要があります。
MYSELFは病名や痛みの原因を診断する場所ではなく、現在の状態を確認し、安全に運動へ進める条件を整理する立場です。
参考にした海外動画
Exercise Scientist Critiques Magnus Midtbø: How Is He This Strong?
この記事では、元動画の内容をそのまま翻訳するのではなく、50代以降の身体づくりに必要な考え方として再構成しています。
まとめ
人によって、長年積み重ねた動作経験、神経系の使い方、身体の構造、得意な動作は異なります。
そのため、強い人と同じメニューを行っても、同じ結果になるとは限りません。
重量を上げることや優れた動画を参考にすること自体が問題なのではありません。
大切なのは、それを自分の現在地に合わせて調整することです。
世の中のコンテンツはゴールの絵として活用し、今の自分が安全にコントロールできるところから始めてください。
自分の身体を知り、自分の変化を基準に進めることが、50代以降もトレーニングを長く続けるための土台になります。
身体について何から始めればよいか分からない方へ
MYSELFの評価は、理想的な姿勢と比較して身体の欠点を並べるためのものではありません。
今の身体がどこまで無理なく動けるのかを確認し、その人が望む生活へ向かうための出発点を決めるために行います。
病名や痛みの原因を診断するのではなく、安全に運動を開始できるか、何を優先するか、どの条件から始めるかを判断します。
確認する項目
- 現在、身体について何に困っているか
- 生活の中で何がやりにくくなったか
- 取り戻したい具体的な行動
- 現在の可動域や身体のコントロール
- 代償動作
- 安全に運動を開始できる範囲
- 今、優先すること
- まだ行わない方がよいこと